Talk show in Nara vol.2

古都に春の訪れを告げる東大寺二月堂のお水取りも終了し、若草山が開山となった3月19日、展示会期中二度目の奈良へ。
先月におこなった河瀬直美さんとのトークに続き、今回は写真評論家の飯沢耕太郎さんをゲストに招いてのトークショー。飯沢さんとはデビュー当時から面識はあるものの、公の場でお話するのは実は今回が初めてだ。河瀬さんとの回では、主に二人の関係、作家としての経歴や姿勢などをテーマに話を進めたのだが、今回は写真表現全般について深く掘り下げる内容になった。前回同様、百々俊二館長のコーディネートのもとテンポよく進行される。先ずは全員席をお立ちいただき、展示されている作品を年代を追って鑑賞しながら、フロアレクチャー形式で百々館長と飯沢さんと言葉のやり取りをする。百々館長は僕の写真の一点一点のエピソードを驚くほど正確に覚えていてくれて、特に印象深い作品について確信的に質問を投げ掛けてくれた。この会話のやりとりは実に心地よく、参加者の方々にも撮影時の背景が的確に伝わったと思う。さらに飯沢さんの方からは肖像写真における人物と背景の関係性など、違ったアプローチで写真の構造についての質問や提案があり、そこからは自分の引き出しには無かった応答を思慮しながらも披露することができた。
そんな感じで会場を半周し、後半は着座して従来のトークショー形式。東京での作品を中心に話の内容はさらに展開してゆく。手練れのお二方のおかげにより、今回のトークは実に幅広く濃密な内容になったと思う。質疑応答を含めて充実した時間を過ごすことができました。参加者のみなさま、飯沢氏、百々館長、スタッフの皆様に感謝致します。
元教え子を含め、関東圏からも多くの参加者があり、こちらもありがたい限りです。……が、遠路はるばるなので大変恐縮な思いもある。せめて界隈を散策しながら奈良の魅力を感じていただけたなら幸いです。

2月6日から始まったこの展覧会も、早いもので残すところわずか六日となりました。来場を予定されている方はお見逃しなきようお願い致します。

takabatakechou

市内各所に貼られたポスターも雨風にさらされて良い具合に退色してきました。

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