写真展中毒

ギャラリーにて、僕の写真を見ている青年がいる。
ずいぶんゆっくりと見てくれている。
歩きながら見たり、椅子に座って一枚の写真をじーっと見たり、立ち上がって近付いて見たり。
小一時間ぐらい見てくれていただろうか。
その間、彼の中でどういった感情が動いているのか、作者である僕だって知る由もない。

あまりにも集中して見てくれていたので、あえて話しかけたりしなかったが、
写真展をしていてこういう出来事は本当に嬉しい。

十年以上も前になるが、初個展をしたときもこういう事があった。
同じく雨の日だったな。

客足もまばらな会場で、写真の前にじっと立ち止まり、金縛りにかかったように動かない少女がいた。
話しかけようと近づいて、彼女の横顔を見る。
彼女は、写真を見据えながら、もっと遠くを見る目をして、涙を流していた。
驚いた僕が涙のわけを尋ねると、小さな肩を震わせながら呟いた。

「わからない・・・」って。

当時の僕にとって、そのひとことがエクスタシー!

これだから写真展はやめられない。

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