神楽と喧嘩と人助け

晴れの土曜日、ギャラリーオープン後いそいそと新宿へ。
午前中から照りつける太陽は、午後になってさらに勢いを増す。あまりにも眩しいので露出計で計ってみる。1/500秒でf16、今年になっての最高値かな。

例大祭初日の花園神社に立ち寄ると神楽が奏されていた。んで、しばし見学。物語はてんで分からないのだが、曲芸師の所作がうつくしく見ていて飽きない。自分が此の国の人間だという事を再認識するな、ハレの日は。

よい気分で歌舞伎町に入った途端、目の前で喧嘩が勃発。いや喧嘩と言うよりはストリートファイターの様相。いつもなら止めに入るところだが、あまりにも本格的すぎて近付く事すらできない。んで、しばし見学。ひとりはヤクザ風の男、腕には真新しい和柄の筋彫りがある。もうひとりは大学生風のガタイのいい男(アフロ)、なにか格闘技をかじっているみたいだ。ヤクザ氏の大振りのパンチは空を切るばかり。アフロくんはスウェーバックやダッキングで軽くよける。ヤクザ氏がふらついたところですかさず腕を取り、絡み付いて倒れ込む。喧嘩ではなかなかお目にかかれないフロントチョークスリーパーが決まったところでポリスが到着。

南口までいくと、歩道に一人のオッチャンが倒れ込んでいた。土曜日の通行人は見事なまでの無視っぷり。写真になるかもとの打算もありながら話しかける。
「おっちゃーん、いけてるかー?」
オッチャンは眼鏡を拾ってヨロヨロと立ち上がり、一礼して立ち去ろうとするがまた転ける。危なっかしくて見てられんわ。腕を取ってタクシー乗り場まで歩くハメに。オッチャンの背中に手をまわすと驚くほど柔らかく、そして細い。以前家にいたウサギを触っているぐらいの感触だった。

無事にタクシーを見送ったあとマクドで遅い昼食。オッチャンの背中の感触が残った手のひらにビックマックを摑む。煙草をくゆらしながら、ほんの小一時間ほどに起こった出来事を反芻する。マクドの客の話し声は妙にトーンが高く僕の鼓膜に響かない。和太鼓の音も、喧嘩の怒号も、オッチャンのか細い声も、店内の笑い声に混じりあって溶けてゆく。
この街の出来事は匂いのようで境い目がない、すべてどっかに消えてゆく。

テンテンテケテンテケテケテケテン

2 thoughts on “神楽と喧嘩と人助け

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    刺激的な時間を過ごしたあとにマクドとか繁華街を歩いていると
    脳みそと耳をつなぐ神経が切断されて周りの音が抜けて
    小さなエアポケットに入る瞬間ってありますねー。
    そんな瞬間は浮遊してる感じでいい気持ちになります。

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    toukeさま
    上手くは言えないのですが。前も後ろも関係無く、裏も表も未来も過去も混然一体となり、僕の体内に入ってくる感覚でしたね。もっと歩いて、僕が街になりたいです

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