A TOWN FOR SLEEP

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8年前に新潟から上京した私は、東京郊外のベッドタウンで一人暮らしを始めた。
街の周緑を歩いてみると、住宅地や高いビル群の中に不釣り合いな田畑が唐突に現れる。それは私が関東に漠然と抱いていたイメージとかけ離れた風景で、振り返ってみれば整然と並ぶ新興住宅。農家の人に話を聞くと、その田畑は土地開発が行われた際の反対運動により保全された場所だという。そこにはこの国における発展と衰退が明確に表出しているように感じた。
変化を続けるコンクリートと緑の広がる街。電車に揺られてお家に帰る。今日はどんな夢を見るのだろう。

五十嵐翔平 / Shohei Ikarashi
1989年 新潟県出身
2015年 東京ビジュアルアーツ写真学科卒業

昨年に引き続き、来週から二週連続でゼミ生の個展をTPPGにて開催いたします。まずは3月17日(火)〜3月22日(日)の会期で開催の五十嵐翔平くんの展示を紹介させていただきます。

昨年展覧会を開催した山本圭一くんと同様、4×5インチのカメラとカラーネガフィルムを使用しての撮影。もちろんプリントは作者による手焼きのタイプC。多くのフォトグラファーがデジタルカメラに移行していく中、手間もお金もかかる手法での制作には、教え子ながらも頭が下がる思いです。しかしもちろん、大切なのは手法そのものではなく、その手法を通じてこそ見えてくる彼の視線なのです。彼がテーマに設定した東京の郊外に朝な夕な出かけて行き、ここぞという風景に対峙して三脚を据える。そしてレリーズを切るまでの一連の行為の中からこそ、彼が見ようとする対象が立ち上がるのでしょう。一つの町の勃興と衰退の狭間を、そしてこれからも続いてゆく変化をも、余すことなく捉えようとした意欲作。たくさんの方にご覧いただきたいです。

ちなみに「いがらし」ではなく「いからし」と読みます。
会期中作者在廊しておりますので、忌憚なきご意見を聞かせていただければと思います。

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