“TIBET” making process, part 6

印刷立会い:
写真集制作においてはもちろん全ての行程が大切だが、その完成度を大きく左右する本文印刷は作者として最も気の抜けない部分。そのクオリティーを確保するためにも現場での確認と微調整は欠かすことができない。というわけで、写真集の印刷立会いのためにデザイナーの伊野氏と共に二泊三日で大阪に行ってきました。
印刷立会いといっても、ずっと作業を見守っているわけでもなく、印刷技術者が慌ただしく動き回っているその間、我々ができることなど何もなく、つまりはほとんどが待ち時間となってしまう。なので話し相手(伊野氏)がいてくれてありがたいです。
印刷現場スタッフでの内部校正が完了した段階でようやく我々にお声がかかる。控え室から階段を降りて工場内へ。そこで刷り上がったばかりのイメージを確認してPDの平田さんや伊野氏と相談しつつ印刷濃度を微調整。この作業は早ければ数分で終了するが、調整に難航すれば時計の針は無情にも過ぎてゆくこととなる。シビアなやりとりを経て校了のサインを入れると喫煙所に立ち寄り一服、伊野氏と感想を述べ合いまた次の台に備える。この繰り返しを三日間で22回。なかなか根気のいる作業ですが、この行程を確実に行うことによって、完成する写真集の佇まいは格段に美しくなってゆくはず。

大阪の深江橋にある “LIVE Art Books” Printing Studio。こちらに移転して間も無いのでピカピカです。

まずは前回の色校正を面付け毎に振り分けて校正会議での指示内容を再確認。

今回の写真集で印刷に使用するのはドイツが生んだ名機、HEIDELBERG製のSpeedmaster 八色機。

この巨大な機械を操るのは小柄な女性オペレーターのA田さん。全国でも稀有な女性の一級技能士所得者です。

以前モニター越しに色校正会議していただいたプリンティングディレクターの平田さん。こちらの要望を即座に反映してくれます。

部分拡大。ランダムに置かれたFMスクリーン印刷の網点はまるで印画紙中の銀粒子のようです。

三日間かけて176ページの確認と印刷を完了。皆様お疲れ様でした(上の画像で16ページ分、全体の1/11です)。

有元伸也写真集「TIBET」は2019年4月5日発売予定です。

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