“TIBET” making process, part 7

製本工程:
印刷立会いから二週間以上が過ぎ、shashashaでの予約販売も始まりましたが、写真集は完成まであと一歩。製本の最終工程となる「くるみ」作業を見学するために、都内の江戸川橋にある「博勝堂」さんに行ってきました。
乗り換えの便の都合で神楽坂駅から少し歩いて現地に向かったのだが、このあたりは本当に印刷屋や製本屋が多い。あちらこちらで印刷機の動く音が聞こえ、ひっきりなしにトラックで運ばれてきた紙の束をフォークリフトで運んでいる様子が見れる。日本の出版文化が、こういった町工場の方々によって支えられているのだと実感する。今回伺った博勝堂さんでも入り口には出荷待ちの某有名写真家の新作写真集が高く積み上げられていた。印刷立会いの時と同じく、今回僕の本を現場で担当してくれるのも女性製本技能士のN宮さん。工場内を見渡しても女性の従業員の多さが目に留まる。機械化が進んでいるとはいえ大型本や美術書などの特殊な製本はほとんどの工程が手作業、女性ならではのしなやかな指先や細やかな気配りが必要な現場なのだろう。
この工程まで来て作者から口出しできることは何もなく、僕はただ作業の邪魔にならないように通路の端を右往左往して写真を撮ったり「ほほう」と頷きながら様々な工程を見学していただけなのだが、テンション上がりまくりで烈火のごとくN宮さんに質問していたのはデザイナーの伊野氏。彼が頭の中に思い浮かべてデザインし、仕様書に起こした設計がどのように具現化されてゆくのか(はたまた、どうして具現化されないのか)が気になって仕方ないようだ。現場が昼休みになり我々一行も引き上げる予定だったのだが、彼の「最後にあと一つ」「最後の最後にもう一つ」の質問攻撃は止む気配がない。普段見ることのない本の状態やその制作工程を見たことにより、自宅にある様々な写真集のその裏側にまで想いを馳せれることになる、非常に有意義な工場見学でした(特に伊野氏にとっては)。

積み上げられた1000冊分?の表紙は新潟の工場でシルクスクリーン印刷が施されている。

ここぞとばかりに製本について質問しまくるデザイナーの伊野氏。

本文と表紙を中央の機械で接着する「くるみ」作業。

人の手と機械によってテンポよく接着されてゆく。この後に表紙と背表紙の間に溝(イチョウ)を入てから、

四冊ずつまとめてプレス機で圧力をかける。

続々と完成してゆく拙著。製品を安定させるために、この状態で数日間「ねかし」てからの出荷となります。

特殊製本 博勝堂 ≫ http://www.hakushowdou.com
写真集「TIBET」のご購入はこちらから ≫ https://www.shashasha.co/jp/book/tibet

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です