北海道の十勝地方に行っていたのですが、此処には僕が二十歳の頃の数ヶ月を過ごした町がある。
撮影の移動中、その町を通過した。
車中にて、当時の事を思い出そうとしても記憶は遥か彼方。
断片的な思い出しか残っていない。
時間の経過のせいもあるが、何より僕の身の丈が違う。
幼い頃に遊んだ公園を訪れて、その狭さに驚く感覚だ。
いつも立ち読みしていた本屋も
ベビーカステラの味のするたこ焼き屋も
灰色の町も
姿こそあれど、僕にはもう必要がない。
そして帰京。たった五日間離れただけでも、東京は違う顔を見せる。
いや、僕が違う顔を見てるんだ。
新しい僕の、新しい東京だ。
単なる出張といえども、帰るのはいつも新しい場所であるべきだ。
帯広駅前