Live on the 大地

正午前、肌寒い空気の中ギャラリーオープンにいく。
いつものように100円の自販機で缶コーヒーを買い、いつものようにギャラリー前の公園で一服。
砂場の横で一日中クロスワードパズルしているホームレスのおじさんもいる、いつもの風景。
煙草を吸いながら他愛もない日常を満喫していると、ブランコの下に見慣れないホームレスを発見する。でも、あの靴と上着にはなんか見覚えがあるぞ。楓くんじゃねーかー!?

住所が〈大地〉な彼は、布団も〈大地〉のようだ。冷たい土の上でキレイな顔して眠っている。しばらく見とれたあと声を掛ける。「楓くんおはよー!」
起きるやいなや公園のゴミ箱を漁ろうとする彼を誘って近所の〈ラーメン四谷〉で一緒に昼食。
卓上のお酢を大量に入れたラーメンを食いながら彼が尋ねた。
「有元さん、地図持ってない?」
猫舌な僕は、レンゲによそったラーメンを啜りながら聞き返す。
「どこいくの?」
さらにお酢を追加しながら彼が答える。
「青木ヶ原樹海に行ってから京都まで。なんか、導かれてるんだよ」
「徒歩で?」
「徒歩で」

狭いニッポッン、京都まで歩いても大した距離でもないし、樹海をさまよう事だって出来ない事はない。しかし今の僕には彼の自由な発想が単純に羨ましく思えた。
これはきっと距離とかの問題ではなく、遠くまで歩こうとしない僕の気持ちの問題なんだな。

2 thoughts on “Live on the 大地

  • SECRET: 0
    PASS:
    京都に下道を走ってバイクで向かおうと思った自分が軟弱に思えますばい。

  • SECRET: 0
    PASS:
    僕は明後日、大阪まで新幹線ですよ。日帰りするにはそれしかないからね。
    距離でもなく、方法でもなく、目的でもない何かを携え旅に出たいな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です