Drawing 明日をつくる人 vol.2

明日より10月10日(日)までの6日間、トーテムポールフォトギャラリーにて岩手在住の写真家、奥山淳志さんの新作写真展を行います。
奥山さんとは「アサヒカメラ」や「風の旅人」などの雑誌で一緒に掲載されることも何度かあり、昨年コニカミノルタプラザで開催された企画展「今、そこにある旅」でもご一緒させていただいた。
作品的にも人間的にも大好きな写真家であり、その個展を自身のギャラリーで開催できることをとても嬉しく思う。

本日搬入を終えたのですが、奥山さんの写真もさることながら、今回の展示にあわせてオーダーされた木製のフレームもいい感じ。
こちらは奥山さんの友人の木工作家である和山忠吉さんの手によるもので、搬入の際に手に取ってみると、その質の高さに驚かされた。
早速僕もオーダーしたくなりました。
同じく和山さんの作品のポートフォリオ・テーブルとチェアもギャラリーの真ん中に置かれていて、ギャラリー全体が木の柔らかい質感に溢れています。
そして今回の奥山さんの作品の被写体である弁造さんのドローイング作品も展示されています。
こちらはベニヤ板の端材に油彩されていて、また違った質感があります。

丁寧な手仕事を大切にされている奥山さんの作品世界、この機会に是非ともご高覧下さい。
会期中、奥山さん在廊されておりますのでお話しなども。

奥山淳志ホームページ http://www.atsushi-okuyama.com/

奥山淳志写真展「Drawing 明日をつくる人 vol.2」

2010.10.5(tue) – 10.10(sun)@TOTEM POLE PHOTO GALLERY

北海道に暮らす弁造さんの家の中心には、イーゼルが立っている。その前で発砲スチロールの箱に座り、絵を描くのが、今の弁造さんの大切な時間だ。絵は弁造さんにとって大きな夢だった。夏は荒野を開墾して金を貯め、冬は上京して画学校で絵を学ぶ。
若い頃はそんな暮らしを何年も続けた。
「絵のための人生」。弁造さんは青年期の自らについてそう語った。しかし、現実として、その「人生」を描き切ることはできなかった。絵をやめる理由は、きっといくつもあるだろうが、弁造さんが絵をやめた理由は、“ 人生の出来事” に対し、自らの意地や信念を貫くためだった。それはきっと「誰の人生でも起こりうること出来事にすぎない」と人は言うだろう。僕もそう思うようにしている。それでも、弁造さんを訪ね、その描く姿にシャッターを切るたびに、胸が震えるような、溢れるような思いにとらわれる。病気が原因で震える指先も、キャンバスに向かう際の少し呆けたような表情も見慣れたはずであるけれど、いつも何かが溢れて、止まらない。「残りの人生で、描けるのはあと数枚」と笑う弁造さんが、今、描いているのは母と娘だ。91歳になる弁造さんにとって、それが何を意味するのか、僕にはわからない。
「何かを得て、何かを失う」と、以前、弁造さんはメモに書き記していた。
絵も言葉も、簡単にわかったような気持ちにだけはならないように気を付けている。

奥山淳志 / Okuyama Atsushi
1972年、大阪生まれ。
京都外国語大学卒業。1995~1998年、東京で出版社に勤務した後、1998 年、岩手県雫石に移住し、写真家として活動を開始。以後雑誌媒体を中心に北東北の風土や文化を発表するほか、近年は、積極的に作品発表を行っている。
[作品展]
2009年「今、そこにある旅(東京写真月間)」コニカミノルタフォトギャラリー(東京)
2008年「明日を作る人」新宿ニコンサロン(東京)
2006年「Country Songs ここで生きている」ガーディアンガーデン(東京)・ギャラリーヒラキン(岩手)
2005年「旅するクロイヌ」up cafe( 岩手)

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