中国湖南省衡陽市。私がまだ幼かった頃の故郷の風景をよく覚えています。その中でも特に印象深かったのは、一年の終わりに降り積もる雪でした。
それはとても寒い季節でしたが、子供たちは真っ白な雪に惹かれ、寒さなど忘れて雪の中を夢中で駆け回っていました。
…しかし二月の雪はとても短く、三月になる前にはすっかり消えて無くなってしまいます。
それと同時にこの一年も終わりを告げ、暖かい春が新年を連れて来る。「二月雪」、それは終わりと始まりの狭間に垣間見える美しく残酷な風景。
流れゆく時の中、喜びも悲しみも包み込み、過ぎ去る時間は二度と戻る事はない。この風景がこれからどのように変化してゆくのか誰も知る由はない。
それでもまた、暖かい初春の風が美しい未来を連れて来ると信じています。

profile
中国湖南省衡陽市出身
2013年、南昌工程学院（Nanchang Institute Of Technology）卒業
2019年、Taipei Art Book Fair 出品（Lakuda Tokyo）
現在、東京ビジュアルアーツ写真学科作家コース在籍中

先週のテイテイに引き続き、今週も私のゼミの学生の展示を開催いたします。作者のユブンさん（Yang Yuwen / 楊喻雯）は一年生の時にRolleiflexを手に入れ、それ以来故郷の湖南省衡陽市をモノクロフィルムで撮影しています。同学年では、この二年間で最も成長した学生だと思っています。とにかく質問も多く、教えた事については私の想像を超えて繰り返し習得してゆく。学校の暗室での作業時間も間違いなく学年で一番でした。少しお茶目なところもありますが、とにかく真面目な学生です。作品も真面目でオーソドックスなスタイルですが、その丁寧な仕事ぶりをご高覧いただけましたら幸いです。
会期中、作者在廊して皆様のご来場をお待ちしております。若い写真家の成長のためにも、忌憚なき意見をお聞かせください。
※上の鶏の画像はプリントの部分拡大です。

エントランスの壁面では、古い家族写真のインスタレーションを行っています。アッシュブルーのボブカットの女性が作者のユブンさん。会場内で見かけたら是非お声掛けください。

Taipei Art Book Fair で20冊限定で販売した手作りのZINEも会場内で販売しています。残り4冊だけなので早い者勝ち！かなり凝った造本となっていますので、手にとってご覧ください。こちらは2,000円です。