42 inches Roll RC Paper

前回の投稿ではロール印画紙の入手性への不満と、Archival Pigment Print(インクジェットプリント)への挑戦について書いたが、その作業と並行して暗室でのロール印画紙へのプリントも行っていた。今回は二会場での同時開催で、両会場とも東京の都市の路上で撮影した作品を展示するので、会場ごとに展示方法に変化をつけたいとの思いがあった。
日本橋髙島屋での展示が決まったのは実は二年も前のこと。その時から大まかな展示構想を練って、着々と準備を進めていた。一方、ZEN FOTO GALLERYでの展示が決まったのはわずか数ヶ月前のこと。写真集制作が忙しい最中のオファーだったので、同時開催は大変だとの考えから一瞬断ろうかと思った。しかし次の瞬間には今の展示方法のアイディアが頭をよぎり、それをぜひ実現してみたいとの思いで展示を引き受けたのだった。その展示方法がRCのロールペーパーでZEN FOTO GALLERYの壁面を覆い尽くすというもの(RCのロールペーパーは普通に入手できる)。それから壁面図とにらめっこして展示サイズや展示可能枚数を吟味する。ギャラリー内で一番低い2200mm高の壁面に合わせて1100mmサイズの写真を二段、合計24枚の作品が必要だとわかった。ギャラリー壁面のコーナーの処理や、壁面中にある収納スペースの扉の開閉方法など、解決していない問題点はいくつもあったが、とにかくロール印画紙を購入し、土日曜日の開放暗室を予約して引き伸ばし作業を進める。これだけの枚数のロールプリントを一気に仕上げるのは初めての経験だったので、一日の作業の終り頃には精魂尽き果てて、帰宅後は倒れるように眠りについた。それでもまた次の日の作業で、引き伸ばしのピントの合った大きいプリントをみると活力が漲ってくる。この一連の作業には「モノクロ写真制作のエクスタシー」を感じる。
これらの作品はZEN FOTO GALLERYにて8月6日まで展示しています。実際にギャラリーを訪れて体感してほしい展示です。

シンクいっぱいに水を張り水洗。隣のカラー暗室ではTPPGメンバーのユブンが展示のためのプリント作業を行っていました。

日曜日、学生のいない学内の廊下を占領して印画紙を乾燥。

プリントが大きいとゴミ(失敗プリント)も大きい。そして高価だ……。

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