福田晴紀写真展「石蔵が見える」/ Haruki Fukuda “The View of Stone Warehouse”
2024年10月1日(火)〜10月6日(日) @ TOTEM POLE PHOTO GALLERY
私の故郷である栃木県宇都宮市には、古くからの石蔵が300棟近く存在している。2度の大きな戦火にも耐えた石蔵を支えたのは、火に強い大谷石(おおやいし)であった。
大谷石は荒々しい見た目であるが、独特の柔らかさをもつ。その特徴は宇都宮市大谷町の山々や採石場を彷彿とさせる。
実家の近所にも石蔵があり、気に留めないほど風景の一部として馴染んでいた。しかし、いつの日からか、石蔵が目立つようになっていることに気がついた。
今まで敷地の奥でひっそりと息づいていた石蔵だが、住宅地がまばらになったことで全貌が見えるようになっていた。その風景は、子供の頃に見た故郷の風景とは明らかに違っていた。
かつて200カ所あった大谷石の採石場も現在は4カ所のみとなり、石蔵の数も急速に減りつつある。私の目の前に姿を現した石蔵も、⻑い歴史の中では一瞬の出来事なのかもしれない。– 福田晴紀
10月1日(月)から10月6日(日)の会期で、第二期 TOTEM POLE PHOTO WORKSHOP グランプリ受賞写真展を開催いたします。第二期ワークショップのグランプリは福田晴紀さん。福田さんは若い受講生の中でただ一人の四十代、経営者としてのお仕事もあり、二児の父として家庭も持たれている。忙しい日々の中から時間を割いてのワークショップ参加だったと思います。半年間のワークショップの前半は、テーマ設定に悩みながらも様々な方法で撮影していましたが、なかなか思うような評価が得られず考え込むことも多かったと察していました。しかし、後半になって今回の展覧会のテーマである故郷宇都宮市にある石蔵と出会ってからというもの、仕事の合間を縫って何度も撮影に行き、 毎週土曜日のワークショップ内でその週の撮影の成果を披露してくれました。その発表の中で私たち講師のアドバイスに真摯に耳を傾け、他の受講生の反応を確認しながら、撮影方法やカメラやレンズの選択なども試行錯誤し、 徐々に作品を完成させてゆきました。 福田さんの制作への姿勢と、当ワークショップの成果をぜひご高覧ください。
また10月5日(土)の19時30分からは、TOTEM POLE PHOTO GALLERYのInstagramアカウントにて、福田さんとのインスタライブを行います。今回の展示作品の制作秘話や、ワークショップ内での出来事などをお聞きしたいと思います。ぜひご視聴ください。